2007年08月29日

月刊MMHWおよそ8月号

【巻頭:フリートーク】
あっという間にもう9月になりそうだ。
時間マジ速い。

24日から27日までスタジオHIPPIE(=梅島)にて『戯雅輪舞』に関する企画合宿を行った。
コミティアにも行こうと思っていたのだが、全然会議が間に合わずそのまま会議続行。
途中飲み会等もあったが(笑)予定していたことはなんとか終わった。
とりあえずは一安心である。
あとは作業をこなすだけだ。
しかしまぁ、来年から制作体制が変わりそうなので、
その時までに色々と立て直さなきゃならないだろう。
27日、会議を午後7時ごろまでになんとか切り上げて新宿へ向った。
東京デザイナーズウィーク2007関係で仕事をする事になりそうで、その打ち合わせのためだ。
(ちなみに先月の日記で決まりそうと書いた仕事は結局ダメになった。
フリーランスとしてはこんなの良くある事だろうけど、やっぱ悲しいなぁ~。)
懐かしいようでそんなに懐かしくないメンバーが揃う。
凄いスピードで企画が組みあがって行った。
なかなか面白い物が出来そうだ。
もう準備期間がそんなに無いってのが心配だけど(笑)
今年は個人的に出展申請してみようかと企んでいた時もあったので、
こうして仕事として関わる事になるとは面白い流れだなぁと思った。
そういえば、MONGOOSE STUDIOに初めて出会ったのも、
去年の東京デザイナーズウィークだったなぁ。
そう言うのも縁って物なのか。

前から目を付けていたあるスクールが来年新規の生徒募集を開始している。
マジで入学しようと思っている。
学校が北浦和で遠いし、受講料も内容もキツイけど、絶対プラスになると思う。
費用対効果はかなりデカイと予想。
特に、これからやって行く事につながるはず。

最近知ったのだが、おちまさとさんプロデュースの書籍『教科書シリーズ』が、
「ポケット判」と称して文庫化されている。
企画の教科書』『企画の教科書2』『初対面の教科書』『時間の教科書』の4作。
文庫化以前、『企画の教科書』を買って読んだが素晴らしい本だった。
当たり前と言えば当たり前なことが書かれている。
しかし、それは当たり前ではない。
こんな親切でわかりやすく、一番難しいような事を教えてくれる本はほかに無い。
少なくとも、何か作ることをしている人間は読んで損は無い。
とりあえず1作目の『企画の教科書』は読むべき。
文庫版は前の奴の約半額。
安い。
思わず全部買った。
『企画の教科書』は既に持ってるのに(笑)
しかしまぁ『企画の教科書』は思い出したとき読み返しているので、
文庫版は持っていた方が良いかなと。
何かアイディアが出たときに、この本は読み直して検証するのに役立つ。
そう言う本だ。
それに4冊並べると綺麗だしね(笑)

SONYが来月出すという『Rolly』と言うオーディオ製品が気になってしょうがない。
WalkmanがiPodに取って代わられた今、
ポータブルオーディオは何を出しても対抗できないだろうと思っていたのだが、
ちょいちょいリークされている情報から考えると全く違うものが生まれそうだ。
今は無きAIBOの開発グループが関わっていると噂されるこの製品、
「過去あったものの進化系」では無く「全く新しい物」を作る、SONY魂が甦る事を期待したい。

最近買ったCARGOの『Jewel』と言うアルバムが気に入っている。
滅茶苦茶素晴らしい!!とかそう言うんでは無いのだが、なんか、良い。
特に一曲目の『Life Is Sweet』は凄い好き。
凄くノスタルジックなサウンドで、切ない。
透明度の高いキラメキ感がある。
インディーズだけどダイキサウンドが流通行ってるので大抵のショップで買えるはず。
m.c.A・Tのニューアルバム『Music Conductor A・T』も購入。
最近のA・Tは原点回帰している。
富樫明生名義時代に近いサウンド。
いや、ちゃんと現在のクオリティなのだが、
現在のクオリティで昔持っていたファンキーさと言うかグルーヴ?がある。
いまどきこんな作曲家なかなかいないのではないか。
当然良い意味で。

【連載:逆行日記(舞台レビュー8本)】
8月21日
パルコ劇場で上演されていた『LOVE30 vol.2 ~女と男と物語~』を観た。
30分、ワン・シチュエーションに男女二名、そして恋愛話と言うテーマのもと、
3名の作家が本を書くと言う企画。
一本目「北向きの女」
しっとりとして良い雰囲気のやり取り。
社長の愛人である女と、その後輩で家庭ある部下の男。
その二人の駆け引きが良い。
最後に話の確信のようなものがあるのだが、
それが結構流れを切ってしまうような感じなのが惜しい。
その前後は凄く良い。
まぁ、しかし確信の部分が無いと物語が成り立たないので、絶対必要なのだが……。
二本目「アルゼンチンにて」
これもまた駆け引きである。
微妙な、揺れるような駆け引きが延々と続く。
途中から流れが読めてしまうのが惜しい。
三本目「箪笥の行方」
コメディだが、これも言わば駆け引きであった。
超鈍感な男と素直になれない(?)女。
笑える。
そしてちょっとした仕掛けが何段かあってそれが上手い事機能している。
役者の力量もあってどの作品もキャラクターにリアリティが感じられる。
公演後に出演者、演出家、作曲家でトークショーが行われたのだが、
かなりのぶっちゃけトークでなかなか笑えた。

8月18、19日
恒例な感じで箱根へ家族旅行。
東京からの行き帰りはグッタリだが、コミケ直後に温泉ってのもなかなか素晴らしい。
夏の箱根ではここのところ毎年『箱根JAZZ温泉』と言うイベントが行われており、
様々な施設でJazzライブ等が催されているのだが、
丁度日程的に、泊まったホテルで「宅間善之トリオ」のライブが行われたので鑑賞。
ピアノ、ヴァイオリン、ヴィブラフォンと言う組み合わせ。
これがなかなか良かった。
ホテルでTV見ていたら浅利慶太さんが出ていて、結構思い切った事を言っていた。
でも正直、私も最近同じ事を思ったのでちょっと複雑だ。
自分の考えが正しいかったと感じもするが、それを認めたくない気持ちもあったからだ。

8月17日
今更書く事も無いほどコミケ(笑)
暑かったねー。

8月14日
新宿コマ劇場にて上演されていた『す★け★だ★ち』を観た。
新宿コマは初めて行ったのだが、凄い劇場だ。
場内の作りが凄い。
これぞ劇場!と言う感じである。
舞台の可動装置も凄かった。
二段階(?)に地上5~7mくらいまで上がる。
そして地下に3mくらい沈む。
ものすごいダイナミックに動く舞台だ。
それだけで、あまり他の舞台装置がいらなくなってしまうくらいのインパクト。
果てさて本編。
この舞台、音楽担当のつんく♂さんが頭取と言う事で、
ハロプロ関係、芸人などが多数出演している。
主演は筧利夫、松浦亜弥。
「チャンバラ歌謡ショー」と銘打たれたこの舞台は、エンタテインメント一色の舞台である。
芝居とアクション、そして要所要所に歌が入る。
……このシステム、どっかで観た気が……。
基本はそれこそ「歌謡ショー」だが、こりゃ言うまでも無く『サクラ大戦歌謡ショウ』だ。
演出なども舞台と言うよりはライブ寄り。
様々なパロディやコントを挟みながら、だんだんと重いテーマを描いて行くSF作。
全体的な完成度とまとまりの悪さが気になるが、いろんな物が山盛りのエンタテインメントだ。
印象に残ったのは宮川大輔と時東ぁみ。
宮川大輔は言わば悪役のボスだったのだが、とりあえず演技が相当上手い。
そしてその役どころに相応しい存在感を放っていた。
素晴らしいと思う。
そして時東ぁみ。
スタイルと動きが良いからか、予想以上に舞台映えする。
生で観てこそファンを増やすタイプだろう。
正直、映え方では松浦亜弥を喰っていたと思う。
終演直後、すぐさま劇場出口でコンサート?のチケット購入者相手に、
握手会をしていたのも凄いなぁと思った。
プロ根性だ。
心残りなのは、ギャル曽根ちゃんが何も食わなかった事か……。
スパゲティをたくさん用意したと言うくだりは絶対振りだと思ったのに!!(笑)
あと笑ったのは、なんかキービジュアルとかが
「ミュージカルBLEACH」っぽいなぁって思ってたら、久保帯人さんから祝花が来ていた(笑)
(多分「ミュージカルBLEACH」の出演者が出ていたためと思われる)
それから、やっぱタレント系の舞台だけあって、物販とか色々考えられてるなぁと思った。
この辺も『サクラ大戦歌謡ショウ』に近い。
日本の舞台ビジネスは少なくともあと10年は伸びると思う。
そのためにも古い舞台ビジネスは見直すべきだ。
客寄せのキャスティングで舞台がぶち壊しになるのは最悪だが、
それ以外にも資金繰りは出来るはず。
助成金とかに頼り続けてはダメだ。
もっと他のショウビジネスの手法を取り入れなくては。
それか四季のように独自のシステムを編み出すしかない。

8月12~14日
スタジオHIPPIEにてコミケ準備合宿。
届いていた印刷物をあけて見て、信じられないくらい酷いミスを発見。
っつーか多分、私のデータ制作ミス。
コミケは応急措置で切り抜ける事にして、残りは刷りなおしする事に。
刷りなおししなきゃならんほどのミスはこれまでした事がなかったのでかなり凹む。
それでもなんとか準備完了。
今に至る。

8月10日
麻布die pratzeにて上演されていた劇団BOOGIE★WOOGIE『RED LINE』を観た。
日本で内戦が起こり、暫定国境線が家のど真ん中に引かれてしまった家族を描いたシットコム。
はじめは勢いだけで笑わせようとしているのか?とも思ったが、なかなか練られている。
キャラクターの立ち方も良い。
ありがちなようでありがちではない。
大きな戦争を描いているようで、実際は個々の人々を描いている。
上手い。
戯曲の上手さが見えてくると、その対極にある役者の力技が映えてくる。
観てる方へ問いかけをしてくる舞台ではあるのだが、
作家なりの答えを提示してくれるので終わったときスッキリする。
シンプルだが、とても楽しめる舞台だった。

8月9日
東京芸術劇場で上演されていた劇団PROPAGANDA STAGE『サマーデイズ』を観た。
以前、派生団体である「海賊団」の舞台を偶然観て面白かったので、
本公演を観に行く事にした。
戦争物だ。
舞台業界もこの時期は戦争物が多いらしい。
現代の若者の目で、戦争、特攻、そしてその時代に生きる若者の姿を追う。
理解不能だった事が、少しずつ理解出来て行く過程、分かり合う過程が美しい。
あの時代も、今も、そしてこの先も、
すべては地続きなのだと言う事を改めて教えてくれる舞台である。
物語的にはもっと振り幅があっても良かったかもしれない。
ドカンドカン笑えるような部分がもっとあった方が、メリハリがつくような気がした。
まぁ、内容が内容なだけにそう言うわけにも行かないのかも知れんが。
あとは、せっかくキャラ立ててある劇団員たち(←役柄)の出番が少ないのがもったいない。
話に絡ませようがないと言えば無いけども。

8月7日
パルコ劇場で上演されていた
『Director’s Choice ~ドラマリーディング・シリーズ Vol.1~「サロメ」
』を観た。
このドラマリーディングとは、役者が台本を持ったまま、
特別な舞台装置も衣装も用意せずに物語を演じ進めると言うもので、
一般には戯曲を上演するか否か決めるためのプレゼンテーション等で行われるものが原型らしい。
実際、今回の公演は、演出家がパルコプロデュースで上演してみたい戯曲を、
お客相手にプレゼンテーションすると言う趣向で企画されたようだ。
朗読劇と通常の演劇の中間のような感じである。
この『サロメ』の前に8月3日に白井晃演出の『フォーエバー・ワルツ』も上演されている。
そちらも観劇したが、それについては後述する。
さて、本作『サロメ』。
出演の三名は常時着席で、朗読劇の形に極めて近い。
演出効果は照明と音楽だけだ。
その音楽だが、なんとヴァイオリン(ギターかも)とラップトップによるものだった。
こんなところでラップトップの即興演奏を鑑賞する事になるとは。
しかし、それ特有の不安定さと言うか、
気持ち悪さ(良い意味で(笑))が『サロメ』の狂気じみた物語と実にマッチしていた。
役者陣の選出も素晴らしいと思う。
朗読劇だけに、喋り、声に魅力のある役者が揃っている。
演技がかなりディフォルメされていて大げさなのだが、それが演出の意図通りに、
朗読劇である故に足りなくなってしまうリアリティとそれによる没入感を補っている。
朗読劇はセッションだと言うその考えが実によく出ている演出であった。
舞台は最低限の舞台装置と演出効果だけで十分に見応えあるものが出来ると言う好例である。

8月3日
パルコ劇場で上演されていた
Director’s Choice ~ドラマリーディング・シリーズ Vol.1~「フォーエバー・ワルツ」』を観た。
前述した『サロメ』同様のドラマリーディング。
役者としても有名な白井晃さんの演出である。
ほぼ朗読劇と言えた演出の『サロメ』と違い、こちらは唯一の舞台装置である椅子を使って、
舞台全体で様々な場所や場面を表現している。
舞台上に配されたプロジェクターを役者自らが操作し、背景を映したりもしていた。
しかし、世界一つ一つの繋がりは当然曖昧で、
見ている側にも今が何時のどこなのか完全には把握できない。
夢のような、幻想のような、物語の世界と、この制約による曖昧な空間が素晴らしくリンクしている。
余韻の心地良い舞台だった。

8月2日
東京芸術劇場で上演されてた「いとこ同志」を観た。
夜行列車、そして従姉弟をキーワードとした舞台。
フィクションと現実が行き来し、現在と過去が行き来する。
それぞれは曖昧に、濃厚に、絡み合い世界を構築する。
シーン一つ一つが美しく印象的だ。
そして4名のキャストが様々な役割を持ち、それを演じ分けたり曖昧にしたり。
不思議な、それでいてどこか切ない舞台である。
夜行列車に乗って旅に出たくなった。

7月26日
萬劇場で上演されていた劇団Birth『風咲き花』を観た。
沖縄を舞台にした、命のつながりをテーマにした舞台。
淡々と、人々の暮らしを描く。
東京からやってきた主人公と言う異物が投じられているにもかかわらず、
大きな変化はみられない。
異物によって、人々は揺り動かされたりもするが、
それよりも大きな流れがこの世界にはあるのかもしれない。
過去から未来へと続く流れが。
見終わった後に、じんわりと心に染み渡るような舞台であった。

written by D.J.HIRO : 2007年08月29日 12:54



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